acas社長 大浦昌尚ブログ
カーテンが開いた 4
今、高津宮で井戸を掘らせていただいている
そのことを産経新聞に掲載していただいた
ボランティアで
世の中のためになることをやらせていただきたい
と言う思いがこのような応援をしてくれることに
つながったのかと氣付かせていただき
「カーテンが開いた」も同じようなことだったのではないか
と改めて思った
明日23日に高津宮であきんど祭りが開催されます
ぜひ多くの人にお越しいただきたいと思います
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『カーテンが開いた』4
薄紫のアジサイが梅雨に打たれて輝いていた。
昨年6月。
「寂しくなったなあ」「次は何をしようか」。
再び男たちは悩み始めた。
兵庫県立こども病院工事現場の作業所2階。
仕事の打ち合わせをする「隊長会」でのこと。
クレーンからこいのぼりが下ろされ数日たっていた。
■足場にスクリーンだ
建築足場は3階まできていた。
目と鼻の先に、子どもたちが手を振り続けた病棟の窓がある。
電気設備会社の森岡晴人(39)らはこれに目をつけた。
足場にスクリーンをつりアニメを映す。
観客席は病室だ。
野外映画祭を企画した。
実行は七夕の日。
だが、朝から土砂降り。
作業所の和田正信(34)、原田敦弘(33)らは白い布を丸め、
テルテル坊主を作った。
「大きいほど効果がある」と高さは2.5メートル。
足場につけた。
願いは通じた。
午後から小降りに。
病棟も準備に追われた。
南側の病室に子どもたちが集まる。
ベッドのままで、車いすのままで。
点滴を受けながら。約70人。
夕方、映写機が置かれた2階テラスに作業員が出てくると、
もう待てなかった。
■早くしてくださーい
「まだですか!」「早くしてくださーい」。
かわいく、それでいてしっかりとした響き。
男たちが聞いた子どもたちの初めての肉声だった。
7時過ぎ。
一休さんが工事用シート5枚を合わせた即席のスクリーンに現れた。
病室は静まり返る。
病院経理課の高橋邦年(41)は病室を巡回した。
5階の一室に入った。
■傘さして笑顔観た
男児がベッドで頭上の鏡に見入っている。
八木操ら保母二人が1メートル以上もある姿見をじっと持ち、
スクリーンを映し出していた。
テラスに一人の女性が立っていた。
看護部長の中田美代子だ。
傘をさして、身動きせずに病棟を見上げていた。
子どもたちの「笑顔」を確認するために…。
(敬称略) 1994年(平成6年)2月10日
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