acas社長 大浦昌尚ブログ
小さなケーキ屋さんのお話
一度はリスケしていただこうとしたのですが、どうしてもその日だとなんとなく思い、始発の新幹線で横浜から直行して、山岡さんの紹介で30年間一人でケーキ屋さんを営んでいる女性店主と会わせていただきました。
その日は偶然その方の70才のお誕生日でした。
駅からも遠い高校の前の小さな小さなケーキ屋さんです。
30年前にご主人のお母さんが「あんた上手やん」って言って製菓学校の授業料からお店のお金まで出してくださったそうです。
2階の喫茶スペースの窓からは高校の緑が見えます。「この風景が良くってこのお店に決めたんです」と小さな厨房から見える風景を見せてくれました。
高校、中学、保育園が近くにあり閉店前になるとお腹を空かした子どもたちが割引されたお菓子を求めてくるのだそうです。中学生は甘ーい匂いだけを嗅いで帰るそうです。
お話を伺っている間も数人の方がお誕生日のお花を持ってお祝いにこられました。こんなにも地位域から愛されているんだと驚くと共に、この場所で30年も続けてこれたが少し理解できたように思いました。
そんな愛されている店主ですが2年前に難病が分かり、重ねて癌も見つかり、入院してお店を閉めておられました。
店先に張り出されたお休みのお知らせにはお客様からの沢山のメッセージが寄せ書きされていました。
退院されてお店を再開されたのですが、ケーキもパンも焼き菓子も全てたった一人で手づくりされていたためもう続けられないと決断されました。
ただ、とっても元気なので土日に工房でパン教室、売場はご近所さんが自由に集えるサロンにしたいとリノベーションのご依頼を頂きました。
お客様が喜ぶ姿が大好きで、今でもご依頼があれば徹夜してでもケーキを作るそうです。この日も牛乳も豆乳もアレルギーのお子さんのためにお米のミルクで作ったケーキをお客様が取りに来られていました。
教室をするのは、自分が作ったケーキを食べながら楽しそうにお話しされている姿を眺めるのが幸せだったから、この幸せを知っていただきたいからと教えてくれました。
来年3月11日に閉店です。それからの工事です。
ご予算は400万円。
何のために働くのか?
お義母さまの思いからたくさんの素敵な思いがミルフィーユのように、モンブランのように優しく重ね紡がれた素敵な想いに感動して、心の底から一緒にさせていただきたいと思っています。
この小さなケーキ屋さんと共に育った子どもたちをどう巻き込もうか、いっそのこと探偵ナイトスクープに依頼しようかとわくわくしています。