acas社長 大浦昌尚ブログ
集合住宅の設計とは
先日、大手デベロッパー様からご依頼を頂き、
「集合住宅の設計とは」というお題で二時間講演をさせていただきました。
折角機会を頂いたのだから、ただ単なる設計の流れや、技術的なことでは面白くないし、
設計をするにあたり日頃からacasが大切にしている考え方や心構えをお話させていただきました。これは設計者に限らず一緒に集合住宅を創るデベロッパーやゼネコンにも共通することと思っています。
例えば、acasでは基本設計にあたりコンセプトを大切にしています。このコンセプトを導き出すために計画地の調査には必ず2名以上で行き、駅からの道のりだけでなく周辺を散策します。なぜ2名以上なのかというのは、街を歩くとふと「なんか良い」と感じることがあります。それを口にして会話することでなぜそう感じたのかということが暗黙知から形式知になり、より具体化されていくのです。一人では独りよがりな感覚にもなりかねません。
ではなぜ周辺から導き出すのかというと、調和が大切だと考えているからです。昔、バラガンの建築が好きだからと日本でピンク色の集合住宅を建てた人がいてニュースになりました。商業地なら目立っても良いのかもしれませんが、やはり周りとの調和を大切にしなければ独りよがりな、自分だけ良ければというものになってしまいます。
その土地にある良いものをスポイルしてブラッシュアップして、整えていくという感じです。道行く人が「あっ、なんかいい」って感じてくださるのがいいかなぁと思っています。
「パークタワーあべのグランエア」はそんな一つです。自転車に二人乗りした女子高生が「あっ、なんかいい」と言って写メを撮ってくれました。彼女たちはこのマンションのお客さまではないですが写メを撮ってくれました。さて、この写メはどういう使われ方をするのか?
ちなみに、これを担当した比土平君は京都の「パークホームズ烏丸通二条」もデザインし、家族で前を通りかかった時に調和させすぎて通り過ぎてしまったという逸話を持っています(笑)
誰のための設計なのか?誰のために創っているのか?自分達だけが良ければいいのか?ただ利益を出せばいいのか?
自分たちがかかわらせていただき、集合住宅を創ることで街を創っている。未来を創っている。デベロッパーも設計者もそんな尊いお仕事をさせていただいているのだとお話させていただきました。
聴いていただいた2年目の方が「日曜日にグランエア観に行ってきました」と言ってくださいました。少しでもお役に立てたのかとうれしく思います。