acasスタッフブログ
『活断層』
杉谷です。
イレギュラーな書き込みをお許しください。
二川さん担当の木曜日ですが、私の前回分のブログを
アップさせてもらいます。
毎月購読している「建築知識」。
4月号には全国活断層マップが付録として付いていました。
今後活断層の位置や有無を把握しておく重要性があります。
そこで今回のブログは地震の種類についてです。
大きくわけますと、
1、プレート間地震
2、内陸地殻内地震
3、海洋プレート内地震
4、火山性地震
が挙げられます。
では、今回の東北地方太平洋沖地震、どれに該当するかご存知でしょうか。
1の「プレート間地震」(逆断層型)に該当します。
2つ以上のプレートが接する場所では、プレート同士のせめぎ合いによって地震が発生します。
このようなタイプの地震をプレート間地震あるいはプレート境界型地震と呼びます。
海溝で起こるものが多いため海溝型地震とも呼ばれます。
具体的には、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込み、両者の境界が応力により歪みを受け、
ばねのように弾性力を蓄え、やがてそれが跳ね返る時に地震が起こると考えられています。
1923年の関東地震や今後想定される南関東直下地震のように、海溝から離れた深いところにまで
震源域は広がっています。跳ね返りで発生するといっても、実際は2つの地盤の面がずれる
断層運動によって起こるものです。
プレート間地震の規模はM7~8と大きく、稀に複数の領域が同時に動いてM9を超える
超巨大地震が発生します。
震源域が広い場合が多いため、被害が広範囲にわたることとなり、規模が大きい海溝型地震が
海洋の下で発生した場合、今回の地震のように津波が発生する事態となります。
2、「内陸地殻内地震」
海洋プレートが沈み込んでいる大陸プレートの端の部分では、海溝から数百km離れた部分まで
含む広い範囲に海洋プレートの押す力が及びます。その力はプレートの内部や表層部にも現れるため、
プレートの表層部ではあちこちでひび割れができ、このひび割れが断層です。
周囲から押されている断層では、押された力を上下に逃がす形で山が高く、谷が深くなるように
岩盤が動きます(逆断層)。
また、周囲から引っ張られている断層でも、引っ張られた力を上下に逃がす形で山が高く、
谷が深くなるように岩盤が動きます(正断層)。
また、押される断層・引っ張られる断層であっても、場所によっては断層が水平にずれ、
岩盤が上下に動かないこともあります(横ずれ断層)。
多くの断層は、正断層型・逆断層型のずれ方と、横ずれ断層型のずれ方のどちらかがメインとなり、
もう一方のずれ方も多少合わさった形となります。
このようなタイプの地震を内陸地殻内地震あるいは大陸プレート内地震と呼び、このタイプの地震では
地表に断層が出現しやすいため、断層型地震、活断層型地震などとも呼ぶびます。
内陸の断層は都市の直下や周辺にあることも少なくなく、直下型地震とも呼びます。
地震の規模は活断層の大きさによりますが、多くの断層はM6~7、大きいものではM8に達し、
海溝型地震と同じように、長い断層はいくつかの領域に分かれ、別々に活動します。
1995年1月の兵庫県南部地震が該当します。
将来の地震発生予測を目的に、1980年以後日本全土の活断層が調査され、
危険な断層を順次評価しています。
兵庫県南部地震の前に公表された活断層の地図には他の大断層類と同時に
「危ない断層」として有馬・高槻・六甲断層帯が危険と表示されていました。
この調査作業は2011年現在も継続して続けられています。
活断層に限っていいますと、断層の真上に建築を計画するのは回避するべき
となりますが、その一方で活断層から数十mほど離れていればそれほど活断層を
恐れる必要はないのではないか、という考えもあります。
兵庫県南部地震の際に地表に現われた野島断層を例に見ると、断層付近の農家では
断層の直上に位置すると考えられる庭先には亀裂が走って、手洗い場や道具などが吹き飛んだにも
関わらず、断層から少し離れた家屋そのものには大きな損傷はなかったとの報告もあります。
建築を予定している場所について、活断層の有無や位置を検証しておく必要性は十分にあります。
また、その位置をピンポイントで特定できる国土地理院発行の「都市圏活断層図」は非常に有用だと
思います。