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最初に好きになった建築-④
二川です。
最初に好きになった建築。
有名どころでは、ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナ・パビリオン。
直線的で無駄の無いデザイン。シンプルでシャープな床・壁・天井。
初めて「美しい」と感じた建築。
シャープでエッジの効いたデザインを好むのは、
この建築の影響を受けていると思う。
それと、以前勤めていた設計事務所だが、初めて
実施設計図の作図を担当した賃貸マンション。
15年ぐらい前になる。
3階建てで戸数は15戸、住戸面積は70㎡前後の小規模なI型配棟のマンションだが、
非常に印象に残っている。
まず、特徴的なアール屋根。中央1スパン分はフラット屋根にし、マリオンと共にファサードを分節。
テクスチャーは1・2階をアースカラーのボーダータイル貼りとし、3階は打ち放しコンクリート。
エントランス廻りは重厚な庵治石貼りとし、入り口はあえて
サンドインすることにより、プラバシー性と落ち着きを演出。
エントランスの横にある受水槽を同じ庵治石貼りのウォールで囲い、
目隠しと共に全体にボリューム感を与えていた。
また、道路からアイキャッチとなるコーナー部のガラスブロック壁も目を引く。
五月山の山並みと周辺環境に調和しながら、上質感を放っていて、
今見てもあまり古さを感じず、本当に目を引く。
この物件を通じて、デザインのおもしろさ、意味、必要性を初めて感じ、そして考えさせてもらった気がする。
この物件をメインで設計・デザイン担当した方は、その昔、某有名デベロッパーの高級分譲マンションの設計を
数多く手掛けられていた。
いつも、チノパンとダンガリーシャツにネクタイで、おしゃれで拘りのある方だった。
この方に建築のおもしろさをいろいろ教えていただいた。
初めて憧れた設計者だった。
実際、この物件が出来上がったのを見たときは、本当にここに住みたいと思った。
その理由は単純明快で、「このマンションに住んでいたら自慢できる」と思ったから。
また、オーナー様が誇らしげにされていたのを見て、うれしかったのを鮮明に覚えている。
今回のテーマは、それが我々の仕事の源であり、目指すところであるということを
改めて想ういいきっかけになった。