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杉谷
泰
Yutaka Sugitani
先人の知恵
2014.09.22
杉谷です。
世界には創造を超える建物が存在します。
中国にある懸空寺(けんくうじ)。
5世紀末、今から1400年前の北魏後期に建立。
仏教、道教と儒教の三つを一体化した
独特の宗教の寺院だそうです。
このような断崖絶壁にどうやってここに資材を運び、
どういった手法で建設したのか。
私の創造をはるかに超えています。
桟道の技術を応用したそうですが、
それだけでなしえるものではありません。
1400年にも渡る歴史の中で、
嵐や大地震に晒されながらも、
一度も壊れる事も無く現在に至っているというのも驚異的です。
建立の最中には多くの人命が失われたのは想像に難くないですが、
宗教的情熱がそれを上回ったのだろうと想像できます。
科学的に確立された建築理論など無い時代に、
この場所に合わせた工法を開発して、
この寺を完成させた先人の知恵にただただ圧倒されます。
日本にも創造を超える建物が見受けられますが、
中でも私の一押しは鳥取県に現存する、
投入堂(なげいれどう)です。
投入堂は日本の国宝に指定されています。
鳥取県東伯郡三朝町にあり、
平安時代後期の建立された、
標高900mの三徳山に境内を持つ山岳寺院です。
毎年、観光客の滑落事故が起きる、危険な場所にあります。
投入堂は中国の懸空寺とは異なり、
地上から資材を運び上げたようではなく、
崖上から資材を吊り下げて建設していたようです。
時代背景から想像しても、到底人のなしえる技とは
思えない世界です。
こういった建物を見ると、その建築手法のみだけでなく、
宗教と建築の深いかかわりにも興味が湧きます。
いずれにせよ、私の想像をはるかに超える建築であり、
必ず一度は訪れたいと思った、今日この頃です。