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横浜地方気象台
横浜市の山手地区の港の見える丘公園の向かいにひっそりと佇む「横浜地方気象台」。
1927年(昭和2年)に完成し、今日に至るまで約100年にわたって気象観測や防災情報の発表などを行ってきました。
横浜地方気象台はもともと大さん橋の近くで観測業務を行っていましたが、関東大震災で倒壊したことによって、山手の旧米海軍病院跡地だったこの場所に測候所が建てられることとなったとのことです。
アプローチを抜けて向かって右側が本庁舎となります。
鉄筋コンクリート造、地上3階・地下1階建てのアールデコを基調としたデザインとなっており、横浜市指定歴史的建造物と横浜市指定有形文化財に登録されています。
向かって左側が安藤忠雄氏の設計により2007年に増築された新庁舎となり、ガラスのカーテンウォールの廊下で本庁舎とつながっています。
本庁舎の外観はアールデコの細部装飾が施されていますが、全体としてシンプルながら、重なりとリズム感が心地よく感じる美しい造形です。
特に建物のコーナー部&玄関部はシンボリック性と人を自然に迎え入れるデザインが印象的でした。
新庁舎は本庁舎の重なりのリズムをはじめ、窓のプロポーションとディテールを打放ちコンクリートを用いて継承しながら調和していて、歴史的建築物へのリスペクトが感じられるデザインでした。
本庁舎の内部は木調仕上げと随所に見られる曲線美が見られる温かみある空間。
また、敷地外周の擁壁は「ブラフ積み擁壁」と呼ばれる 山手居留地区の特徴の外構となっています。
ブラフ積みとは長手(長方形)と短手(正方形)を交互に並べて積む方法で、 レンガのフランス積みに相当します 。
こちらも横浜市指定有形文化財に指定されている遺構となっています。
やはり歴史的建造物は学びと刺激の宝庫だということを改めて感じました。