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杉谷
泰
Yutaka Sugitani
幼き日の記憶の香り
2022.05.09
30年振りぐらいだろうか。
温泉好きの息子とともに温泉へいくと、菖蒲湯のおもてなしがあり、
心身ともに癒されてきました。子どもの頃、祖父がやってくれてい
たことがとても懐かしく、あの鼻の奥にスッとくる独特の香りが当
時の記憶をよみがえらせてくれました。今時、端午の節句に菖蒲湯
という風習は温泉でも行かない限り、知らない(経験したことがな
い)子どもが多いのではないかと思います。兜を飾ったり、こいの
ぼりを掲げたりも同様に、なぜそういう風習があるのかを知らない
子どもも多かったりします。息子も菖蒲湯に入るのは初めての経験
で、最初「風呂にネギが入ってる!!なんでやねん!!」と大騒ぎ
してました。こういう季節毎の風習は、子どもたちに伝え共に学ん
でいくことが大事だと息子をみてつくづく実感しました。
建築というのは、視覚的な要素が大半を占める部分ですが、人の記憶
に残る要素は、嗅覚の部分も重要になります。花が咲けば花の香り、
海辺へ行くと海の香り、草原の香り、この香りどこかで嗅いだ・・・
みたいなことは誰にでもあると思います。
人間の五感の中でも香りを感じる嗅覚だけが記憶をつかさどる海馬
という脳の部分に直接的に信号を送ることができる為、匂いと嗅いだ
瞬間に記憶がよみがえるそうです。その仕組みは「プルースト効果」
といわれています。
今回、菖蒲の香りが記憶をよみがえらせてくれたように、「香り」は
建築においてもとても大事な部分となります。
普段の生活においてもですが、記憶に残るようなシーンを想像する場
合、少しだけでいいので「香り」を意識して取り入れてみてください。